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山梨県・甲州

葡萄を持つ薬師から、信玄と勝頼の寺へ。勝沼・塩山をたどる甲州の旅

甲州(勝沼・塩山)は、山梨県の峡東地域にあります。勝沼の大善寺には、手に葡萄を持った薬師如来の像を行基が刻んで開いたという由来が伝わります。葡萄の薬師から、武田信玄が自らの廟所と定めた恵林寺、信玄の子・勝頼が最期に目指した栖雲寺へ。寺の由来をたどってから、明治に民間のワイン醸造が始まった勝沼の味へ向かう旅です。

基本

所在地 甲州は山梨県にあります。

行き方

  • シャトー勝沼 勝沼ぶどう郷駅から歩いて15分ほどに位置している。
    2026-10-03確認[10]
  • 竜門峡コース 竜門峡コースの所要時間は約4時間10分。
    2026-10-05確認[12]
大善寺の境内。石段の上の建物の前に、拝観の受付の札が立つ
大善寺の境内。石段の上の建物の前に、拝観の受付の札が立つ[1]

旅の輪郭

舞台は甲州市の勝沼と塩山のあたり、そして日川の渓谷です。一日目を勝沼の大善寺とワイナリーに、二日目を信玄と勝頼の寺にあてると考えると、葡萄と武田の二つの話を分けてたどれます。寺の拝観時間と、宝物館・日帰り温泉の休館日は、それぞれの章の表で確かめてください。ぶどうの丘の天空の湯は、令和8年10月13日から改修工事で休館に入ります。

葡萄の薬師から、信玄と勝頼の寺へ

手に葡萄を持つ薬師──大善寺

大善寺の開創は養老2年(718)。行基が日川渓谷の岩の上で、霊夢によって感得した像を刻み、安置して開いたと伝えられます。その像は、手に葡萄を持った薬師如来と、日光・月光菩薩の薬師三尊です。ぶどうとワインの町・勝沼の寺で、本尊の手にある葡萄に目を向けると考えると、この土地の旅の始まりにふさわしい一寺になります。

勝沼の大善寺は「日陰の薬師」、向久保の日向薬師は「日向の薬師」と呼ばれ、その昔、病に悩む人々が祈祷のために列をなしたと伝えられます。二つの薬師が対で呼ばれてきたことも、参拝の前に知っておきたい話です。

大善寺の営業時間・料金
営業時間拝観時間は夏期 3~11月が9:00~16:30(受付終了16:00)、冬期 12~2月が9:00~16:00(受付終了15:30)。行事等の都合により拝観できない場合がある。
2026-09-14確認[2]

信玄が廟所と定めた寺──恵林寺

恵林寺は元徳2年(1330)、甲斐牧ノ庄の地頭職を務めていた二階堂出羽守貞藤が夢窓国師を招き、自邸を禅院として創建した寺です。庭園も鎌倉時代に夢窓国師が作庭したもので、国の史跡・名勝に指定され、甲府八景「恵林晩鐘」にも詠まれています。

この寺は武田信玄(大永元年〜元亀4年)の菩提寺です。信玄は訴訟や政務の合間に時間ができると、禅宗の高僧・学僧を招いて終日問答や法話にいそしみました。坐禅の師であり、軍師でもあったのが快川国師です。信玄は快川国師が恵林寺に再び住むにあたって寺領を加増して迎え、恵林寺を自らの廟所と定めました。

信玄と国師の結びつきを知ってから庭に立つと、ここが政務の合間に禅を問う場所だったことが見えてきます。宝物館の休館日は冬の間に変わるので、下の表で確かめてください。

恵林寺の営業時間・料金
営業時間拝観時間は午前8:30〜午後4:30(年中無休)。
2026-09-24確認[3]
恵林寺 信玄公宝物館の営業時間・料金
休業日信玄公宝物館は、12月〜3月の間は毎週木曜日が閉館となる。
2026-09-24確認[3]

山門に残る国師の言葉──快川国師

天正10年、織田信長の軍勢が恵林寺を取り囲み、快川国師以下百名近くが山門の楼閣の上に押し込められ、放たれた火によって焼き殺されました。「心頭滅却すれば、火も自ずから涼し」という言葉は、炎に包まれて落命する最後の瞬間に国師が唱えたものだといわれています。

国師はかつて美濃の太守・斉藤義龍と対立したとき、「義龍は一国の主、衲僧は三界の師なり」と言ったとも伝えられます。信玄が師と仰いだ人の言葉を二つ知ってから山門を見上げると、門は建物である前に、この話の舞台として目に入ってきます。

勝頼が最期に目指した寺──栖雲寺

大善寺の由来に出てきた日川。その渓谷・竜門峡の案内に、栖雲寺も並んでいます。貞和4年(1348)、元から戻った業海禅師が、杭州の天目山に似たこの地に創建した寺です。武田信武を開基とし、信満の菩提寺でもありました。そして信玄の子・勝頼が、自刃するために目指した寺です。

境内には「蕎麦切り発祥の地」の石碑も建っています。武田の最期の話と、麺の話が同じ境内にある寺です。

日川の大和町田野地区から天目地区にかけては竜門峡と呼ばれ、日川渓谷に沿って遊歩道が整えられ、樹木には名札が付けられています。勝頼が目指した寺へ向かう道を、渓谷の側からたどる歩き方もあります。

武田と甲斐源氏の寺、もう少し

富士に向かう寺──向嶽寺

向嶽寺は康暦2年(1380)、武田信成からこの地を寄進された抜隊禅師が創建しました。「富嶽(富士山)に向かう寺」という意味で「向嶽」と名付けられています。修行道場のため、国の名勝に指定された池泉観賞式の庭園や諸堂の拝観はおこなっていません。門前から寺の名の由来を確かめる寺です。

源氏を勝たせた武将の寺──放光寺

放光寺は、一ノ谷・壇ノ浦の合戦で源氏を勝利に導いた甲斐源氏の安田義定が創建した、約800年の歴史をもつ寺です。「花の寺」としても知られます。武田より前の甲斐源氏の話として、恵林寺の前後に置くと考えると、甲州の寺の時代の幅が見えてきます。

信玄が腰かけた岩──滝本院

武田信春が千野地区に館をかまえていた頃、この院に祀られていた不動明王を厚く敬い、祈願所としました。信玄の時代には黒川金山の街道筋とされ、信玄が腰かけたといわれる大岩が残ります。

幕府へ甘草を納めた家──甘草屋敷

高野家は江戸時代に薬用植物の甘草を栽培して幕府に納めていた家で、古くから「甘草屋敷」と呼ばれてきました。巽蔵・馬屋・東門などの付属屋が重要文化財に指定されています。秋の紅葉の頃には、この屋敷でもころ柿を干す風景を見ることができます。

一葉の父母が出会った寺──慈雲寺

慈雲寺は暦応年間(1338〜1341)に夢窓国師によって開かれたと伝えられる禅寺です。この寺の私塾に通っていた樋口一葉の父・則義と母・多喜が出会い、安政4年(1857)に二人で江戸に出た15年後に一葉が生まれました。一葉は一度もこの地を訪れたことがありませんが、代表作の一つ『ゆく雲』には父母の出身地である中萩原が登場し、境内の入口には一葉の文学碑が建ちます。境内のイトザクラ(シダレザクラ)は樹齢300年で、県の天然記念物です。

葡萄の里のワインと、信玄の陣中の鍋

勝沼の味は、ぶどうとワインです。明治10年(1877)、勝沼に日本で最初の民間のワイン醸造所「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されました。同じ明治10年には、ブドウ栽培を行っていた今村與三郎がワイン醸造を始め、これがシャトー勝沼の始まりになりました。甲州市観光協会のワイナリーの案内によると、甲州市には45のワイナリーがあります(2022年現在)。

宮崎光太郎が創業した宮崎葡萄酒醸造所と観光葡萄園の総称が宮光園で、いまは日本のワイン醸造のルーツなどを学べる資料館です。飲み比べるなら、勝沼ぶどうの丘のワインカーヴでは、専用の容器タートヴァンを買って約130種類のワインを試飲できます(有料)。大善寺の薬師が手に持つ葡萄から、明治の醸造所、いまのワインカーヴへ。勝沼の寺と酒を一本の話として読むと考えると、ワインを選ぶ理由が一つ増えます。

山梨県峡東地域は、春はさくらんぼ、夏はもも、秋はぶどうと四季折々のフルーツが実る果樹農業システムが評価され、令和4年に「世界農業遺産」に認定されました。甲州ぶどうだけを使う「月の雫」は、毎年9月下旬から12月、製造元によっては翌年3月あたりまでの期間限定です。秋の紅葉の頃には、軒下から庭先までころ柿がいっぱいに干されます。

武田の話とつながる味はほうとうです。小麦を練った平たい麺を季節の野菜と煮込み、味噌味で仕上げる鍋で、武田信玄の陣中食とも伝えられます。信玄の菩提寺を訪ねた日の夕食に選ぶと、一日の話がつながります。

ぶどうの丘の天空の湯は、甲府盆地やアルプスを眺めながら入れるアルカリ天然温泉です。ただし天空の湯と食事処「温泉ラウンジ」は、改修工事のため令和8年10月13日から令和9年3月末まで休館です。売店・レストランなどは通常どおり営業しています。

ぶどうの丘温泉 天空の湯の営業時間・料金
概要アルカリ天然温泉に浸かりながら甲府盆地やアルプスを眺望でき、寝湯、ミストサウナ、露天風呂、軽食ラウンジを備えている。
2026-09-24確認[4]
休業日天空の湯と食事処「温泉ラウンジ」は改修工事のため令和8年10月13日(火)~令和9年3月末まで休館。売店・レストラン等は通常営業。
2026-10-05確認[5]

過ごし方:一日目は葡萄の勝沼、二日目は武田の寺

一日目は勝沼へ。午前に大善寺を拝観して、手に葡萄を持つ薬師の由来を確かめます。午後は宮光園で日本のワイン醸造のルーツをたどり、ぶどうの丘のワインカーヴで飲み比べます。夜はぶどう畑に囲まれた勝沼の宿へ。

二日目は武田の寺へ。恵林寺で庭園と山門を見て、信玄と快川国師の話を思い出します。宝物館は12月から3月の木曜日が閉館です。続けて、勝頼が目指した栖雲寺へ。時間があれば竜門峡の遊歩道を歩きます。各寺の間の移動手段と所要時間は、出かける前に確かめてください。

秋に訪ねるなら、甲州市の紅葉は例年10月中旬から11月下旬頃、山々や渓谷、ぶどう畑が色づきます。上日川峠(大菩薩)の紅葉は例年10月中旬から11月上旬が見頃です。10月18日には第21回甲州市およっちょい祭りが開かれます。日程はこの秋の催しで確かめてください。

甲州(勝沼・塩山)で体験・ツアーを探す

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この旅の続きを、どこに泊まる?

一日目をワインで終えるなら勝沼のぶどう畑の中に、二日目に武田の寺へ向かうなら塩山の側に泊まる、と考えると宿が選びやすくなります。

この秋の催し

日程は出典先で最新をご確認ください。

8月3日〜11月30日
開催中(2026年)
ぐるり甲州市デジタルスタンプラリー
開催期間は2026年8月3日から11月30日まで。参加費は無料。
[6]
10月3日
終了
第73回甲州市かつぬまぶどうまつり
ぶどうの実りと収穫の喜び、ぶどうとワインの歴史を築いた先人に感謝する祭典。今年は10月3日土曜日に開催(雨天決行)。会場は勝沼中央公園グラウンド。
[7]
10月中旬〜11月上旬
例年の時期
上日川峠(大菩薩)の紅葉
上日川峠(大菩薩)の紅葉の見頃は10月中旬〜11月上旬。
[8]
10月中旬〜11月下旬頃
例年の時期
甲州市の紅葉
10月中旬〜11月下旬頃、山々や渓谷、ぶどう畑などで紅葉の景色を満喫できる。
[8]
10月18日
2026年の開催予定
第21回甲州市およっちょい祭り
市民総参加による相互の交流促進と産業の振興・地域活性化を図るため開催する。開催日時は令和8年10月18日日曜日、午前9時から午後4時まで。会場は甲州市中央防災広場「塩むすび」、甲州市役所東側駐車場。
[9]
旅支度と出典(営業時間・料金・アクセス・注意)

知っておきたいこと

  • シャトー勝沼勝沼ぶどう郷駅から歩いて15分ほどに位置している。
    2026-10-03確認[10]
  • 向嶽寺修行道場のため国の名勝指定の池泉観賞式の庭園や諸堂の拝観などはおこなっていない。
    2026-10-03確認[11]
  • 竜門峡コース竜門峡コースの所要時間は約4時間10分。
    2026-10-05確認[12]

営業時間・料金・アクセス

金額・時間は確認日時点のものです。出かける前に出典先でご確認ください。

大善寺

営業時間拝観時間は夏期 3~11月が9:00~16:30(受付終了16:00)、冬期 12~2月が9:00~16:00(受付終了15:30)。行事等の都合により拝観できない場合がある。
2026-09-14確認[2]

甲州市勝沼 ぶどうの丘 ワインカーヴ

見どころ特製タートヴァン(試飲容器)を購入すれば、約130種類のワインを自由に試飲できる。
2026-09-24確認[4]

恵林寺 庭園

見どころ庭園は鎌倉時代、夢窓国師の作庭で、国の史跡・名勝に指定されており、甲府八景「恵林晩鐘」に詠まれている。
2026-09-24確認[13]

恵林寺 信玄公宝物館

休業日信玄公宝物館は、12月〜3月の間は毎週木曜日が閉館となる。
2026-09-24確認[3]

恵林寺

営業時間拝観時間は午前8:30〜午後4:30(年中無休)。
2026-09-24確認[3]

ぶどうの丘温泉 天空の湯

概要アルカリ天然温泉に浸かりながら甲府盆地やアルプスを眺望でき、寝湯、ミストサウナ、露天風呂、軽食ラウンジを備えている。
2026-09-24確認[4]
休業日天空の湯と食事処「温泉ラウンジ」は改修工事のため令和8年10月13日(火)~令和9年3月末まで休館。売店・レストラン等は通常営業。
2026-10-05確認[5]

勝沼ぶどうの丘 ワインカーヴ

見どころワインカーヴでは約130種類のワインを専用のタートヴァンを使って試飲できる(有料)。
2026-10-05確認[14]

慈雲寺

見どころ境内のイトザクラ(シダレザクラ)は樹齢300年で県の天然記念物。根回り5.9メートル、樹高14.4メートル。
2026-10-05確認[15]

竜門峡

概要日川の大和町田野地区から天目地区にかけてを竜門峡と呼ぶ。日川渓谷に沿って遊歩道が整備され、樹木には名札がつけられている。
2026-10-05確認[12]

栖雲寺

見どころ栖雲寺の境内には石碑「蕎麦切り発祥の地」が建っている。
2026-10-05確認[12]

塩山駅前観光案内所

休業日当面の間、毎週水曜日と木曜日は臨時休業。土曜日・日曜日・祝日のみジェラートとワインサーバーの販売を休止する。
2026-10-05確認[16]

手に葡萄を持つ薬師、信玄が廟所と定めた寺、勝頼が最期に目指した寺。勝沼と塩山は、寺の由来をたどった旅を、葡萄の里のワインと信玄の陣中の鍋で締められる土地です。

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒運転は法律で禁止されています。

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情報について

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注

  1. 写真:江戸村のとくぞう(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
  2. 施設公式 daizenji.org(2026-09-14確認)
  3. 施設公式 erinji.jp(2026-09-24確認)
  4. 施設公式 budounooka.com(2026-09-24確認)
  5. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  6. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  7. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-09-14確認)
  8. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-09-24確認)
  9. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-09-14確認)
  10. 施設公式 chateauk.co.jp(2026-10-03確認)
  11. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-03確認)
  12. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  13. 施設公式 erinji.jp(2026-09-24確認)
  14. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  15. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  16. 観光協会 koshu-kankou.jp(2026-10-05確認)
  17. 写真:江戸村のとくぞう(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
  18. 写真:BehBeh(Wikimedia Commons・CC BY-SA 3.0)・利用条件
  19. 写真:Flow in edgewise(Wikimedia Commons・CC BY-SA 3.0)・利用条件
  20. 写真:663highland(Wikimedia Commons・CC BY 2.5)・利用条件