
南の山に見えた光から、坑道の中のシュトレンへ。石見銀山をたどる一日
石見銀山の始まりは、海の上から見た光だったと伝わります。見つけたのは博多の商人でした。その銀山に、いまも江戸時代の坑道と、銀山に生きる人々のよりどころだった山の神の社が残ります。発見の伝承から坑道の壁のノミの跡へ、そして坑道の中で冬を待つ焼き菓子まで。銀の山を一日でたどる旅です。
基本
所在地 石見銀山・大田は島根県にあります。
行き方
- 龍源寺間歩 石見銀山公園から龍源寺間歩までは約2.3km、歩いて片道約45分。
2026-09-18確認[3]

旅の輪郭
舞台は、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の中心にあたる大森銀山地区です。銀山川沿いの谷間に町並みが続きます。訪ねるのは、通年公開の龍源寺間歩と、その出口から石段を上った先の鉱山の守り神・佐毘売山神社です。予約制の大久保間歩は石見銀山世界遺産センターで申し込むので、先にセンターへ寄っておくと一日を組みやすくなります。石見銀山公園から龍源寺間歩までの道のりは「出かける前に」の欄にまとめました。温泉津の湯は「もう一日足すなら」に分けています。
船の上から見えた光と、博多の商人
南の山に光を見た──神屋寿禎の発見伝承
石見銀山の発見には、旧記が伝える伝承があります。博多の商人・神屋寿禎が、出雲の鷺へ向かう船の上から、南の山に光を見たというものです。史実としては、島根県の石見銀山の概要に、1527(大永7)年に神屋寿禎によって発見されたとあります。谷の奥の山を見上げるとき、海の上から見えたと伝わる光の話を思い出すと、銀山が海の商いとつながって始まったことが見えてきます。
銀を取り出す技が入った年──1533年の灰吹法
発見から6年後の1533(天文2)年、灰吹法が導入されると、石見銀山での銀生産が本格化し、大量の銀が生産されるようになりました。山から掘り出すだけでなく、銀を取り出す技が入ったことで銀山が動き出した、と考えると、主写真の清水谷製錬所跡のような製錬の跡が、銀山に残っている意味が分かります。
大田市の石見銀山の歴史の解説は、日本と世界を動かした石見銀山の歴史は500年前に博多商人の手で切り開かれたとし、のちに神屋宗湛が、戦国の戦火に荒れた博多の再興に銀を投じたと記しています。石見の山で出た銀が、商人の町・博多へ戻っていった流れです。
馬に乗ったまま入った奉行──大久保長安の伝承
徳川家康によって初代の奉行に任命された大久保長安が、槍を持って馬に乗ったまま入ったという伝承から、その坑道は大久保間歩と呼ばれるようになったとされます。坑道の名前に、人の名と伝承が残っている例です。この間歩は、あとの「坑道の中で冬を待つ菓子」でもう一度出てきます。
いま訪ねる場所:谷の町並みと、二つの間歩
谷に沿って続く町──大森銀山地区
大森銀山地区は、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」と、重要伝統的建造物群保存地区に選定された町並みです。銀山川沿いの谷間に家並みが続きます。坑道や山神さんを訪ねる前後にこの町並みを見ておくと、銀山が山の中の坑道だけでなく、谷の町とひと続きの遺跡として選ばれていることが分かります。
江戸の坑道に残るノミの跡──龍源寺間歩
龍源寺間歩は江戸時代の中頃に開発された代官所直営の坑道で、現在ただ一つ、年間を通して公開されている間歩です。通り抜けができます。坑道の長さは大久保間歩に次ぐ約600mで、そのうち公開されているのは157m(新坑道と合わせると273m)。側面には当時のノミの跡がそのまま残り、坑内の温度は年間を通して変わらないと案内されています。中に入ったら、側面の壁に目を向けてください。そこに残るノミの跡が、江戸時代に人の手で掘り進めた跡です。
銀山の「山神さん」──佐毘売山神社
龍源寺間歩の出口から少し離れたところ、急勾配の石段を上った先に佐毘売山神社の境内があります。15世紀中頃に創建された鉱山の守り神で、精錬の神「金山彦命」を祀ります。全国一の規模の山神社とされ、特に拝殿の重層屋根は天領特有のものと島根県の観光案内にあります。銀堀を守る神様として「山神(さんじん)さん」と親しまれ、銀山に生きる人々の心のよりどころだったと案内されています。坑道を抜けたあとに石段を上ると、坑道で働いた人々が何に手を合わせていたのかが、歩く順番のまま分かります。
予約して入る間歩──大久保間歩と石見銀山世界遺産センター
大久保間歩は、石見銀山世界遺産センターで予約するガイド付きツアーでのみ見学できます。行く日が決まったら、まずセンターでの予約を確かめておきます。センターには有料の展示室があり、銀山の全体を先に知ってから谷へ入る順にもできます。毎月最終火曜日と年末年始は休館です。開館時間と観覧料は下の表で確かめてください。
| 料金 | 有料展示室観覧料は一般400円(団体:300円)、小・中学生200円(団体:150円)、外国人300円(小・中学生:150円)。団体は20名以上です。観覧券は当日のみ有効です。 2026-09-14確認[2] |
|---|---|
| 営業時間 | 開館時間は8:30~17:30、3月~11月は30分延長。展示観覧時間は9:00~17:00(最終受付 16:30)、3月~11月は30分延長。 2026-09-14確認[2] |
| 営業時間 | 開館時間は8:30~17:30。3月~11月は30分延長。展示観覧時間は9:00~17:00(最終受付16:30)。3月~11月は30分延長。休館日は毎月最終火曜日・年末年始。 2026-09-18確認[2] |
坑道の中で冬を待つ菓子
石見銀山で選ぶ土産は、坑道とつながる味です。
間歩で熟成させるシュトレン
大田市の大久保間歩の案内によると、クリスマス前の数カ月間、大久保間歩では地元のパン屋が、果物やナッツを加えて焼くシュトレンを熟成させています。シュトレンは甘いイーストパンの一種で、ドイツの伝統的なクリスマス料理ですが、近年は地元の名物の一つになっています。初代奉行が馬に乗ったまま入ったと伝わる坑道が、いまは菓子を寝かせる場所にもなっている。伝承と一緒に知っておくと、ひと切れの見え方が変わります。
過ごし方:センターで予約、谷を奥へ
朝はまず石見銀山世界遺産センターへ。大久保間歩のツアーに参加するなら、ここで予約を確かめます。展示室で銀山の全体を見てから谷へ向かうと、あとで見る坑道の意味がつながります。
谷に入ったら、大森銀山地区の町並みを見てから龍源寺間歩へ入り、壁のノミの跡を確かめながら坑道を通り抜け、出口から石段を上って佐毘売山神社に参ります。公園から間歩までの道のりは、下の「出かける前に」で確かめてください。
秋から冬にかけて訪ねるなら、いま見ている坑道の一つで、クリスマスに向けてシュトレンが熟成されていることを思い出してください。買える場所と時期は、この記事の材料では確かめられていません。
もう一日足すなら:温泉津の湯
温泉津の温泉街にある薬師湯は、日本温泉協会の新基準による審査で全項目オール5の天然温泉として認定されたナトリウム・カルシウム塩化物泉です。旧館の震湯は大正初期に建てられた木造洋館で、薬師湯の案内によると、温泉津に現存する温泉施設として最古とされます。銀山の谷を歩いた翌日に、温泉街の中の洋館を見上げると、同じ土地の別の時代に触れられます。
石見銀山・大田で体験・ツアーを探す
料金・催行日・集合場所は予約サイトで確認してください。リンクは広告を含みます。
- VELTRAで石見銀山周辺(大田・美郷・川本・三瓶)の体験・ツアーを見る(石見銀山・大田以外の体験も含みます)
石見銀山・大田への移動・ツアーを探す
行き先・日程・料金は予約サイトで入れて確認してください。どれも地域を絞らない入口です。リンクは広告を含みます。
石見銀山・大田の宿を探す
Yahoo!トラベル・一休.comの検索結果は「出雲・大田・石見銀山」の範囲で、石見銀山・大田以外の宿も含みます。料金・空室・食事条件は各予約サイトで確認してください。リンクは広告を含みます。(2026-09-18確認)
- Yahoo!トラベルで出雲・大田・石見銀山の宿を見る
- 一休.comで出雲・大田・石見銀山の宿を見る
- じゃらんnetで出雲・大田・石見銀山の宿を見る(石見銀山・大田以外の宿も含みます)
石見銀山・大田の土産をお取り寄せする
送料・のし・配送日はリンク先で確認してください。リンクは広告を含みます。
- 老舗通販.net(創業100年超の老舗の品)
- 羽田産直セレクション(全国の産直)
- JTBショッピングで島根県の土産を見る
この旅の続きを、どこに泊まる?
予約制の大久保間歩に合わせて朝からセンターへ入る日なら、銀山の近くに泊まると動きやすくなります。温泉津の湯を足す日は、温泉津に泊まる選び方もあります。
旅支度と出典(営業時間・料金・アクセス・注意)
知っておきたいこと
- 龍源寺間歩石見銀山公園から龍源寺間歩までは約2.3km、歩いて片道約45分。
2026-09-18確認[3]
営業時間・料金・アクセス
金額・時間は確認日時点のものです。出かける前に出典先でご確認ください。
石見銀山世界遺産センター
| 料金 | 有料展示室観覧料は一般400円(団体:300円)、小・中学生200円(団体:150円)、外国人300円(小・中学生:150円)。団体は20名以上です。観覧券は当日のみ有効です。 2026-09-14確認[2] |
|---|---|
| 営業時間 | 開館時間は8:30~17:30、3月~11月は30分延長。展示観覧時間は9:00~17:00(最終受付 16:30)、3月~11月は30分延長。 2026-09-14確認[2] |
| 営業時間 | 開館時間は8:30~17:30。3月~11月は30分延長。展示観覧時間は9:00~17:00(最終受付16:30)。3月~11月は30分延長。休館日は毎月最終火曜日・年末年始。 2026-09-18確認[2] |
大久保間歩
| 概要 | 石見銀山世界遺産センターでの予約によるガイド付きツアーでのみ見学可能で、当時の代官が馬に乗ったまま入ったとも言われる間歩。 2026-09-18確認[3] |
|---|
大森銀山地区
| 概要 | 世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」および重要伝統的建造物群保存地区に選定され、銀山川沿いの谷間に約3kmの町並みが続く。 2026-09-18確認[3] |
|---|
薬師湯
| 概要 | 日本温泉協会の新基準による審査で全項目オール5の天然温泉として認定されたナトリウム・カルシウム塩化物泉。 2026-09-18確認[4] |
|---|
龍源寺間歩
| 見どころ | 現在唯一、年間を通して公開されている間歩で、通り抜けができる。江戸時代の中頃に開発された代官所直営の坑道で、大久保間歩に次いで長く、約600m。一般に公開されているのは157m(新坑道と合わせると273m)。 2026-09-18確認[5] |
|---|
海の上から見えたと伝わる光、坑道の壁に残るノミの跡、坑夫たちが手を合わせた山神さん。そして、奉行の名が残る坑道で冬を待つシュトレン。石見銀山は、銀を掘った谷の話を、ひと切れの菓子まで持ち帰れる土地です。千早茜の小説『しろがねの葉』は、この石見銀山を舞台に第168回直木賞を受けました。
次に読みたい旅
この旅の物語とつながる、別の土地。
同じ県・隣県の旅先
周辺の地域も探すなら。移動手段と所要時間は各ページで確かめてください。
情報について
この記事の由来・営業時間・催しは、自治体・観光協会・施設の公開ページを確認して書いています(最終確認 2026-09-18)。訪問して得た感想は書いていません。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。リンク先での予約・購入により当サイトに報酬が入ることがあります。誤りはお問い合わせから。
注
- 写真:Naokijp(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
- 自治体 ginzan.city.oda.lg.jp(2026-09-14確認)
- 観光協会 ginzan-wm.jp(2026-09-18確認)
- 施設公式 yunotsu.com(2026-09-18確認)
- 観光協会 ginzan-wm.jp(2026-09-18確認)
- 写真:degurin(Wikimedia Commons・CC BY 3.0)・利用条件
- 写真:Nikos Kitsakis(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
- 写真:KishujiRapid(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
- 写真:lienyuan lee(Wikimedia Commons・CC BY 3.0)・利用条件




