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山形県・銀山温泉

銀の山の名を継ぐ湯の町。銀山温泉で、延沢銀山の伝説から大正の旅館街と芋煮の秋へ

銀山温泉は山形県尾花沢の、銀山川の両岸に旅館が並ぶ温泉地です。その名前は、江戸時代初期に大銀山として栄えた「延沢銀山」から来ています。銀を掘る人々が集まった山に、なぜ大正の木造旅館が並ぶ町ができたのか。銀山の伝説から湯の町の今までを、歩いてたどる旅です。

基本

所在地 銀山温泉は山形県にあります。

行き方

  • 銀山温泉 山形新幹線大石田駅からバスで40分(銀山温泉行き、終点下車)。東北自動車道古川ICから車で1時間15分。
    2026-09-14確認[10]
  • 銀鉱洞直行コース 銀鉱洞直行コースは約1.4km、所要約60分。
    2026-10-03確認[2]
  • 滝見コース 滝見コースは約0.8km、所要約20分。
    2026-10-03確認[2]
1月の夕暮れどきの銀山温泉の温泉街
1月の夕暮れどきの銀山温泉の温泉街[1]

旅の輪郭

舞台は銀山温泉の温泉街と、延沢銀山の跡です。本編は、銀山の発見の伝説と、銀山から湯の町へ移り変わった歴史。そのうえで、銀山川沿いの旅館街、共同浴場と足湯、滝と坑道の方へ歩きます。山形新幹線の大石田駅から銀山温泉行きのバスの終点が温泉街です。施設の間の移動時間は、この記事では扱っていません。

銀の山から、湯の町へ

銀山を見つけた人の言い伝え──延沢銀山遺跡 銀坑洞

尾花沢の銀山は、康正2年(1456)に金沢の儀賀市郎左衛門という人が発見したと伝わります。尾花沢市の案内によれば、最盛期には島根の石見、兵庫の生野とともに三大銀山と呼ばれ、2万5千人の人々がいました。

いま延沢銀山遺跡として残る銀坑洞は、その銀山の跡です。湯の町の静けさの向こうに、かつて2万5千人が暮らした山があった、と考えると、坑道の入口の見え方が変わります。

公儀山の盛りと、廃山まで──延沢銀山

延沢銀山は、古く16世紀に銀鉱が見つかり、江戸時代には公儀山として栄えました。銀山温泉の年表には、寛文7年、山師作兵亟を頭とする面々の働きで銀の産出が大きく増え、この一期を世に「五人山の盛り」と言った、とあります。

けれども盛りは続きませんでした。元禄2年(1689)に延命寺が建ち、東山が衰えて大崩潰が起こり、山はすべて廃山となります。

銀を運ぶ道の関所──十分一番所跡

延沢方面への入口には、十分一番所がありました。ここを通るときには、物品の価格の十分の一が役として取られたといいます。銀山へ人と物が出入りした道の、関所の跡です。延沢の方へ入っていく道そのものが銀の山の歴史の一部だった、と考えると、跡地に立つ意味が一つ増えます。

銀の山に湧いた湯

湯のほうは、慶長年間(1596〜1614)に見つかり、利用が始まったと年表にあります。寛保年間(1741)からは温泉地として盛んになりました。銀山が廃山となったあと、同じ山あいで、湯の町としての歩みが続いたことになります。

かつては、かやぶき屋根の木造平屋や二階建ての旅館が並ぶ湯治場でした。ところが大正2年、銀山川の大洪水で、ほとんどの温泉宿が流されてしまいます。いま銀山川の両岸に並ぶ洋風の木造多層の旅館は、大正末期から昭和初期の建物です。洪水のあとの時代に建った旅館が並ぶ町並み、と考えると、旅館の一軒一軒に、湯の町の歩みが重なります。

湯の町を開いた医師──田中豊の像

温泉の開発に力を尽くした人として、銀山温泉の散策案内には田中豊の像が載っています。長崎で蘭学と西洋医学を修めて郷里に帰り、銀山温泉発電所を営んだ佐藤家とともに、温泉の開発に取り組んだ人です。

歌人が泊まった宿──齋藤茂吉の歌碑

歌人の齋藤茂吉は大石田で過ごし、昭和20年に銀山温泉の能登屋旅館に泊まって歌を詠みました。その歌碑の歌は、歌集『白き山』にも収められています。散策の案内に載るこの碑を探す時間を予定に入れておくと、宿の名前が一つ、物語につながります。

銀山温泉は、ドラマ「おしん」の撮影地としても知られています。次の章では、この町をいま歩くときに目を向けたい場所を回ります。

いま訪ねる場所:銀山川の旅館街から、滝と坑道の方へ

大正の木造旅館が並ぶ川──銀山温泉の町並み

銀山川の両岸に、大正末期から昭和初期の洋風木造多層の旅館が並びます。洪水のあとの時代の建物だと知ったうえで、川の両側の建物の階数や窓の形を見比べると考えると、町並みを歩く手がかりになります。

共同浴場と足湯──大湯(かじか湯)・しろがね湯・和楽足湯

温泉街には共同浴場と足湯があります。大湯(かじか湯)は、温泉街の宿に泊まる人は無料と案内されています。和楽足湯(わらしゆ)は温泉街の中心にあり、源泉をそのまま使った足湯です。しろがね湯には最終受付があり、おもかげ湯は休止中と案内されているので、入るなら表で確かめておきます。

大湯(かじか湯)の営業時間・料金
営業時間共同浴場「大湯(かじか湯)」の営業時間は8:00~20:00、料金は1人300円(12才以下、温泉街の宿泊者は無料)。
2026-09-30確認[2]
しろがね湯の営業時間・料金
営業時間通年。9:00~16:00(最終受付15:30)。大人500円、小学生以下200円。おもかげ湯は現在休止中。
2026-09-14確認[3]
和楽足湯(わらしゆ)の営業時間・料金
料金通年、6:00~22:00、無料。源泉をそのまま使用した足湯で温泉街の中心にある。
2026-09-14確認[3]

名前の由来を知って見る滝──白銀の滝・籟音滝

白銀の滝は、落差22メートルの滝です。もう一つ、せことい橋から見える籟音滝(らいおんのたき)は、木々の枝が覆いかぶさって日を遮る下を、渓流が岩にぶつかって音を立て、水の少ないときには峰の松風のように聞こえることから名付けられた、といいます。音から付いた名前だと知っておくと、橋の上で滝の音に耳を向ける理由が一つできます。

坑道へ入れる季節──延沢銀山坑道

銀坑洞のある坑道の方へは、初雪からみどりの日(山開き)までの間は、足場が悪くなるため入山できません。秋の終わりに訪ねるなら、初雪の前かどうかで、坑道まで行けるかが変わります。

安産の神──山の神神社

山の神神社は安産の神として知られ、木の男根が奉納されています。

大正末期からの顔──銀山こけし

銀山こけしは大正末期から作られはじめ、今もその形と表情が受け継がれています。いまの旅館街が建った大正末期と同じ頃に作られはじめたこけし、と考えると、町並みと同じ時代の顔として見られます。

山形の味:はいからさんのカリーパン、銀山まんじゅう、芋煮とだし

温泉街の味としては、「はいからさんのカリーパン」が銀山温泉の名物として案内されています。買えるのは明友庵か大正ろまん館です。大正ろまん館では、竹炭入りの生地にごま餡を包んだ銀山まんじゅうも扱っています。

銀山温泉「大正ろまん館」の営業時間・料金
営業時間銀山温泉の観光施設「大正ろまん館」の営業時間は9:00〜18:00(休業日は不定休)。
2026-09-28確認[4]

秋に訪ねるなら、山形県の郷土料理芋煮の季節です。里芋の収穫期の秋から冬によく食べられ、河原などに鍋や材料を持ち込んで野外で作る「芋煮会」は、山形県民の年間行事の一つになっています。銀山の由来と直接つながる味ではありませんが、同じ県の秋の味として選ぶ一品です。

もう一つの山形の味がだしです。夏野菜を細かく刻んで作り、ごはんにのせるほか、冷奴にのせたり、そうめんやそばのつゆに薬味として入れたりと、食べ方はさまざまです。

過ごし方:1泊2日で、銀山の跡から旅館街の夜へ

1日目は、大石田駅からバスで温泉街へ。旅館街の中心の和楽足湯で一息ついてから、銀山川の両岸の建物を見比べ、田中豊の像と齋藤茂吉の歌碑を探します。大正ろまん館でカリーパンと銀山まんじゅうを選び、宿に入ります。夜は大湯(かじか湯)へ。

2日目の朝は、白銀の滝を見て、坑道の方へ入れる季節なら銀坑洞まで足を延ばし、康正2年の伝説と「五人山の盛り」を思い出します。帰りに、せことい橋から籟音滝の音を聞き、山の神神社に寄ってから温泉街へ戻ります。初雪のあとは坑道の方へは入れないので、その日は滝までを目安にします。

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この旅の続きを、どこに泊まる?

大正末期から昭和初期の旅館街を見に来る旅なので、温泉街の宿に泊まると、夜と朝の町並みを両方見られます。

この秋の催し

日程は出典先で最新をご確認ください。

10月10日
終了
尾花沢もっとまるだし未来まつり
令和8年10月10日(土)9:00~16:00、尾花沢市文化施設サルナートの特設会場で開催。
[5]
10月中旬~12月上旬
例年の時期
千年回廊
銀山温泉公式サイトのトップに、10月中旬~12月上旬の観光イベントとして千年回廊が載っている。
[6]
例年10月下旬~11月上旬
例年の時期
銀山温泉の紅葉(例年の見頃)
例年の見頃は10月下旬~11月上旬。
[7]
例年1月上旬
例年の時期
裸参り(三日町 愛宕神社)
開催日は1月上旬、会場は三日町の愛宕神社。零下の夜に冷水を浴びて愛宕神社まで登り、町民の安全などを祈願する。
[8]
例年1月中旬
例年の時期
地蔵転がし(北郷地蔵堂)
開催日は1月中旬、会場は北郷地蔵堂(北郷集落内)。家の人は地蔵の頭をなでたり祈ったりする。
[8]
例年2月下旬
例年の時期
尾花沢雪まつり~徳良湖WINTER JAM~
尾花沢の冬の伝統行事と雪遊びのアクティビティが体験できるイベント。そり付きバイクやスノーモビルなど大人も子供も楽しめるアクティビティが勢揃いする。
[9]
旅支度と出典(営業時間・料金・アクセス・注意)

知っておきたいこと

  • 銀山温泉山形新幹線大石田駅からバスで40分(銀山温泉行き、終点下車)。東北自動車道古川ICから車で1時間15分。
    2026-09-14確認[10]
  • 延沢銀山坑道初雪からみどりの日(山開き)までの期間は、足場が悪くなり坑道方面への入山ができない。
    2026-09-30確認[2]
  • 銀山温泉車で訪れる際、村山市からの県道29号線(背あぶり峠)は極めて狭い山道のため通行を避けるよう案内されている。また古川方面からの国道347号は冬期間通行止めとなる。
    2026-10-03確認[11]
  • 銀鉱洞直行コース銀鉱洞直行コースは約1.4km、所要約60分。
    2026-10-03確認[2]
  • 滝見コース滝見コースは約0.8km、所要約20分。
    2026-10-03確認[2]
  • ゆったり散策コース銀山温泉のゆったり散策コースは約1.9km、所要約90分。
    2026-10-03確認[2]
  • 銀山温泉銀山温泉へ続く道路は道幅が狭く、来訪者の入場調整およびマイカー規制(パークアンドライド)を実施している。
    2026-10-05確認[12]
  • 銀山温泉10月7日10:00~14:30は温泉街全面停電のため、飲食店やお土産店などは休業。
    2026-10-05確認[6]
  • 銀山温泉秋は華やかに色づいた紅葉を眺める散策ができ、きのこ料理が味わえる。
    2026-10-05確認[13]
  • 銀山温泉春は残雪の山々が山桜色に染まり、山菜が顔を出す。
    2026-10-05確認[13]
  • 銀山温泉夏は鳥のさえずり、滝や渓流の水音、かじか蛙の声が聞こえ、湯上りに散策コースを歩ける。
    2026-10-05確認[13]
  • 銀山温泉冬は銀世界にガス灯の明かりが灯り、熱々の鍋料理が待っている。
    2026-10-05確認[13]
  • 銀山温泉山形空港から銀山温泉へは車で約1時間。
    2026-10-07確認[11]
  • 芭蕉、清風歴史資料館芭蕉、清風歴史資料館には無料駐車場がある。
    2026-10-07確認[14]

営業時間・料金・アクセス

金額・時間は確認日時点のものです。出かける前に出典先でご確認ください。

銀山温泉

概要銀山温泉の名称は江戸時代初期に栄えた延沢銀山に由来する。大正末期から昭和初期の洋風木造多層の旅館が銀山川両岸に並ぶ。
2026-09-14確認[15]

白銀の滝

見どころ落差22メートルの滝。
2026-09-14確認[2]

しろがね湯

営業時間通年。9:00~16:00(最終受付15:30)。大人500円、小学生以下200円。おもかげ湯は現在休止中。
2026-09-14確認[3]

和楽足湯(わらしゆ)

料金通年、6:00~22:00、無料。源泉をそのまま使用した足湯で温泉街の中心にある。
2026-09-14確認[3]

銀山温泉「大正ろまん館」

営業時間銀山温泉の観光施設「大正ろまん館」の営業時間は9:00〜18:00(休業日は不定休)。
2026-09-28確認[4]

銀山こけし

見どころ銀山こけしは大正末期から作られはじめ、今もその形、表情が受け継がれている。
2026-09-30確認[16]

大湯(かじか湯)

営業時間共同浴場「大湯(かじか湯)」の営業時間は8:00~20:00、料金は1人300円(12才以下、温泉街の宿泊者は無料)。
2026-09-30確認[2]

延命地蔵

見どころ白銀の滝の前にある地蔵。山形百八地蔵尊の第九十一番霊場で、健康長寿や厄除けを祈願したものとされる。
2026-10-03確認[2]

銀長者池

見どころおもかげ園の中にある池。
2026-10-03確認[2]

銀鉱洞北口

見どころ坑洞内には歩道橋が付けられ照明設備も整っており、幻想的な空間が体験できる。
2026-10-03確認[2]

延沢銀山廃坑洞(銀鉱洞南口)

料金文化庁史跡指定されている延沢銀山廃坑洞は見学無料。
2026-10-03確認[2]

河鹿橋

見どころ昭和初期に作られたレトロな石橋。大自然の中で歴史を感じながら散策できる。
2026-10-03確認[2]

こうもり穴

見どころ入り口は小さく見えるが、中に入ると奥の方に岩と岩の間の隙間があり上に抜けられるようになっている。
2026-10-03確認[2]

夏しらず坑

見どころ銀山坑の中からのひんやりとした風が吹き出している。
2026-10-03確認[2]

おもかげ園

見どころ銀坑道入口前にある公園。坑道は雪が降り始めると危険のため入坑不可となる。
2026-10-03確認[2]

おもかげ湯

営業時間温泉街の奥側にある貸切家族風呂「おもかげ湯」は1組50分間の貸切で、10:00~17:00まで受付。利用受付は『居酒屋ちょろ松』。
2026-10-03確認[2]

せことい橋

見どころ緑に囲まれた清流にかかる赤い橋。
2026-10-03確認[2]

白銀橋

見どころ温泉街の入り口にある「白銀橋」。橋の温泉街側には休憩スペース「ねまる座」がある。
2026-10-03確認[2]

銀を掘る2万5千人が集まった山は、元禄の大崩潰で廃山となりました。その名前を継いだ湯の町は、大正の洪水を経て、大正末期から昭和初期の木造の旅館がいまも銀山川の両岸に並んでいます。

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情報について

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注

  1. 写真:さかおり(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
  2. 観光協会 ginzanonsen.jp(2026-09-30確認)
  3. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-09-14確認)
  4. 観光協会 yamagatakanko.com(2026-09-28確認)
  5. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-10-05確認)
  6. 観光協会 ginzanonsen.jp(2026-10-05確認)
  7. 国の機関 yamagatakanko.com(2026-10-05確認)
  8. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-10-05確認)
  9. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-10-07確認)
  10. 観光協会 yamagatakanko.com(2026-09-14確認)
  11. 観光協会 ginzanonsen.jp(2026-10-03確認)
  12. 観光協会 ginzanonsen.jp(2026-10-05確認)
  13. 観光協会 ginzanonsen.jp(2026-10-05確認)
  14. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-10-07確認)
  15. 施設公式 ginzanonsen.jp(2026-09-14確認)
  16. 自治体 city.obanazawa.yamagata.jp(2026-09-30確認)
  17. 写真:Naokijp(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
  18. 写真:degurin(Wikimedia Commons・CC BY 3.0)・利用条件
  19. 写真:KΛNΛTΛ(Wikimedia Commons・CC BY-SA 3.0)・利用条件
  20. 写真:掬茶(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
  21. 写真:Raita Futo from Tokyo, Japan(Wikimedia Commons・CC BY 2.0)・利用条件
  22. 写真:663highland(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件