
井伊の赤備えから、赤いこんにゃくへ。彦根城をたどる一日
天守にのぼる前に、この城の主だった家の色を知っておくと、城下の土産の見え方が変わります。赤鬼と恐れられた初代・井伊直政の「井伊の赤備え」。その名を借りた「蒟蒻の赤備え」が、いまも城下でつくられています。井戸から出たと伝わる始祖の話から、山頂の国宝天守、そして赤い一皿までをたどる一日です。
基本
所在地 彦根は滋賀県にあります。
行き方
- 彦根城 電車はJR彦根駅下車。彦根城まで徒歩約15分。
2026-09-20確認[14]

旅の輪郭
起点はJR彦根駅。彦根城までは歩いて向かえると案内されています(所要は「旅支度と出典」の欄に)。彦根山(金亀山)の山頂に国宝の天守、その周りを巡るように重要文化財の各櫓、麓に下屋敷と内堀・中堀。城の北東には大名庭園の玄宮園があります。本編はこの城山と城下のひとまわりで、城の東にそびえる佐和山と、いまは無い内湖の話は「もう一日足すなら」に分けました。
井戸から出た始祖と、赤備えの藩
始祖は、井戸から現れたと伝わる──彦根城博物館
井伊家が元祖とかぞえる共保は、平安時代中期に井伊谷八幡宮の井戸から出現したと伝わる、伝説上の人物です。史実の側を見ると、井伊家は江戸時代を通じて彦根藩主として近江国東部を治めた譜代大名で、領地は30万石。初代の直政から14代の直憲まで、国替えなく彦根を治めました。ひとつの家がひとつの土地に居続けた、という前提で城と城下を見ると、堀の形も町の並びも、その家の都合でできたものとして読めてきます。
750回忌に、始祖を彦根へ迎える──井伊神社
天保13年(1842)、12代藩主の直亮が、始祖・共保の750回忌にあたって井伊谷(現在の静岡県)の八幡宮から井伊大明神を分霊し、神像を造って龍潭寺の参道脇に祀りました。これが井伊神社の始まりとされます。初代の直政と2代の直孝もあわせて祀られています。井伊谷の井戸の伝説が、江戸時代も終わりに近いころ近江へ迎えられた場所、と考えると、参道の脇という位置にも意味が見えてきます。
赤鬼と呼ばれた初代の、色
城下の蒟蒻店・山中商会の案内には、赤鬼と恐れられた藩主・井伊直政公の「井伊の赤備え」にあやかり、「蒟蒻の赤備え」をつくりあげた、とあります。藩主の家に結びついた色が、そのまま城下の食べものの名前になりました。この赤は、城を歩いたあとの「城下で赤を買う」でもう一度出てきます。
いま訪ねる場所:山頂の天守と、北東の庭
山頂の国宝天守と、それを囲む櫓──彦根城
彦根城は彦根山(金亀山)を利用して江戸時代初期に築かれた平山城です。山頂には国宝の天守があり、周囲を巡るように重要文化財の各櫓が残っていて、麓には下屋敷をはじめ内堀や中堀などが当初の姿を留めています。城跡は昭和31年7月19日に国の特別史跡に指定されました。大名が地方政治の責任を担う体制の拠点として機能した城郭遺構である、と彦根城の世界遺産登録をめざす資料は説明しています。天守の高さだけでなく、櫓と門と堀がどう組み合わさっているかに目を向けると、その説明が形で見えてきます。


先に天守へのぼる理由
天守や天秤櫓、太鼓門櫓、西の丸三重櫓、馬屋の建物内は、入場の締切よりさらに早く閉門します。城山に着いたら建物の中を先に、庭や堀は後に回すと、閉門に合わせて急がずにすみます。出かける日の時刻は、下の表で確かめてください。なお標高約130mの山上にあり坂や石段が多く、築城当時の面影を伝えるためエレベーターやスロープ等のバリアフリー設備はなく、単独での車椅子見学はできないと案内されています。屋外はリードでの歩行によりペット同伴が可能です。
| 休業日 | 年中無休。開国記念館は12月25日から12月31日まで休館します。 2026-09-14確認[4] |
|---|---|
| 営業時間 | 08:30~17:00。最終入場は彦根城、玄宮園・彦根城博物館は16:30まで、開国記念館は16:45まで。終了時間までに退出いただくため、天守、天秤櫓、太鼓門櫓、西の丸三重櫓、馬屋の建物内は16:45に閉門します。 2026-09-14確認[4] |
| 概要 | 彦根城は彦根山(金亀山)を利用して江戸時代初期に築かれた平山城です。山頂には国宝の天守があり、周囲を巡るように重要文化財の各櫓が残っており、麓には下屋敷をはじめ内堀や中堀などが当初の姿を留めています。彦根城跡は昭和31年7月19日、国の特別史跡に指定されました。下屋敷は昭和26年6月9日に「玄宮楽々園」として国の名勝に指定されています。 2026-09-14確認[5] |
| 営業時間 | 開場は午前8時30分から午後5時まで。入場は午後4時30分まで。 2026-09-20確認[5] |
| 概要 | 彦根城跡は昭和31年7月19日に国の特別史跡。下屋敷は昭和26年6月9日に「玄宮楽々園」として国の名勝。 2026-09-20確認[5] |
| 料金 | 彦根城(玄宮園を含む)の入場料は一般1,000円(団体800円)、小・中学生300円(団体240円)。 2026-09-21確認[4] |
| 営業時間 | 開場時間は08:30~17:00(彦根城、玄宮園・彦根城博物館の最終入場は16:30まで。建物内は16:45閉門)。 2026-09-21確認[4] |
城の北東、近江八景を写した庭──名勝 玄宮園
玄宮園は城の北東にある大名庭園で、琵琶湖や中国の瀟湘(しょうしょう)八景にちなんで選ばれた近江八景を模してつくられました。4代藩主の直興が延宝5年(1677年)に造営したとされています。麓の下屋敷は昭和26年6月9日に「玄宮楽々園」として国の名勝に指定されています。池のふちを歩きながら、どの位置から天守が見えるかを探すと、庭と城の関係が見えてきます。

仲秋の名月のころには、玄宮園をライトアップして特別公開する「観月の夕べ」があります。日程はこの秋の催しで確かめてください。
城下で赤を買う
堀の外に出ると城下町です。土産は、城で聞いた話の続きとして選べます。

藩主の色を、ひと皿で持ち帰る──山中商会「蒟蒻の赤備え」
山中商会は彦根の城下の蒟蒻店で、赤鬼と恐れられた井伊直政の「井伊の赤備え」にあやかって「蒟蒻の赤備え」をつくりあげたと、観光協会の案内にあります。赤兜蒟蒻、味付赤兜蒟蒻、赤こんにゃく鉄之介ちゃんが並びます。城で赤備えの話を知ってから選ぶと、「滋賀で買った珍しい色の食べもの」が、藩主の家の色を持ち帰る一品に変わります。

井伊大老ゆかりの名を持つ菓子──いと重菓舗「埋れ木」
いと重菓舗は文化6年(1809)の創業で、糸問屋であった初代の糸屋重兵衛が菓子屋に転身し、七代にわたって受け継がれている彦根の菓子舗です。井伊大老ゆかりの「埋れ木」をはじめ、「道芝」「あわの海」「彦根路」などの棹ものと季節の生菓子を取り揃えています。「埋れ木」は白餡を求肥で包み、和三盆糖に抹茶を加えてまぶしたものです。

藩が将軍家へ届けた味──近江牛の味噌漬
近江牛を白味噌に漬け込み、数日寝かせてから焼く郷土料理です。1781年に彦根藩が補養薬として将軍家や徳川御三家に献上したと、農林水産省の郷土料理の解説にあります。赤こんにゃくが藩主の色なら、こちらは藩が外へ贈った味。二つ並べると、彦根藩が何を外へ出していたかが見えてきます。
過ごし方:城山を先に、城下を後に
午前は城山から。天秤櫓の橋を渡り、太鼓門櫓をくぐりながら山頂の天守へ向かいます。建物内は入場の締切より早く閉じるので、天守と櫓を先に見ておきます。
そのあと山を下りて、城の北東の玄宮園へ。池のまわりを回りながら天守が見える位置を探します。
午後は堀の外の城下へ。夢京橋のあたりを歩いて、山中商会の赤こんにゃくといと重菓舗の菓子を選びます。彦根城博物館に寄るなら、共保の伝説を読んでから城へ向かう順にしても組めます。
行事に合わせるなら、2026年11月3日はひこねの城まつりパレード。彦根城内から市内を巡り、夢京橋も通ります。玄宮園の観月の夕べ、彦根城博物館のテーマ展とあわせて、日程はこの秋の催しで確かめてください。
もう一日足すなら:消えた内湖をたどる
彦根の東に佐和山があります。佐和山城の歴史は古く、鎌倉時代初期、近江源氏・佐々木定綱の六男の時綱が佐和山の麓に館を構えたのが始まりと伝えられています。彦根城の山頂からは、この山が正面に見えます。

いまの地図には無い湖が、この二つの山のあいだにありました。松原内湖です。「百間橋」と通称された橋は、当時佐和山城の西に広がっていた松原内湖にクランク状に架けられた通路のうち、松原側(琵琶湖側)に設けられた木橋のことで、古絵図などの記録から幅三間(約5.4m)、総延長三百間(約540m)に及ぶものと伝えられています。いまは石碑が跡を示しています。
同じ内湖は、城の守りにも使われました。彦根城の内堀・外堀に生えるオニバスは鋭いトゲをもつ水草で、築城当時は関ヶ原の合戦後の不穏な世相であったので、松原内湖から防塞用として移植したもので、いざ戦いのとき堀を渡って攻め寄せる敵兵に対してうってつけのものとなったと伝えられています。堀の水面を見る目が、一日目とは変わります。
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この旅の続きを、どこに泊まる?
彦根城の建物内は入場の締切より早く閉門し、玄宮園の観月の夕べは夜に開きます。朝いちばんに城山へ入り、夜は庭から歩いて戻る日にするなら、JR彦根駅のまわりに泊まると宿がそのまま起点と終点になります。
この秋の催し
日程は出典先で最新をご確認ください。
| 令和8年/2026年9月18日(金)~10月19日(月) 会期末・10月19日まで | テーマ展「姫君の婚礼調度」 彦根城博物館で、姫君の婚礼の際に調えられた婚礼調度を展示。 [10] |
|---|---|
| 令和8年9月19日(土)~10月4日(日)のうち、土日祝 全9日間 各日 18:00〜21:00(最終入場20:30) 終了 | 観月の夕べ 仲秋の名月の時期に玄宮園をライトアップして特別公開する。 [11] |
| 11月3日 2026年の開催予定 | 第73回 ひこねの城まつりパレード 令和8年(2026年)11月3日(火・祝)13:00〜14:30。雨天時は開催中止。開催場所は彦根城内〜市内(駅前お城通り〜いろは松〜彦根城内〜夢京橋〜本町〜銀座〜登り町〜城東小学校)。 [12] |
| 令和8年11月23日(月・祝) 2026年の開催予定 | 令和8年度「彦根茶会」 井伊直弼公の茶の湯・一期一会の文化を広める条例に基づき、市が主体で彦根茶会を開催する。 [13] |
旅支度と出典(営業時間・料金・アクセス・注意)
知っておきたいこと
営業時間・料金・アクセス
金額・時間は確認日時点のものです。出かける前に出典先でご確認ください。
彦根城
| 休業日 | 年中無休。開国記念館は12月25日から12月31日まで休館します。 2026-09-14確認[4] |
|---|---|
| 営業時間 | 08:30~17:00。最終入場は彦根城、玄宮園・彦根城博物館は16:30まで、開国記念館は16:45まで。終了時間までに退出いただくため、天守、天秤櫓、太鼓門櫓、西の丸三重櫓、馬屋の建物内は16:45に閉門します。 2026-09-14確認[4] |
| 概要 | 彦根城は彦根山(金亀山)を利用して江戸時代初期に築かれた平山城です。山頂には国宝の天守があり、周囲を巡るように重要文化財の各櫓が残っており、麓には下屋敷をはじめ内堀や中堀などが当初の姿を留めています。彦根城跡は昭和31年7月19日、国の特別史跡に指定されました。下屋敷は昭和26年6月9日に「玄宮楽々園」として国の名勝に指定されています。 2026-09-14確認[5] |
| 営業時間 | 開場は午前8時30分から午後5時まで。入場は午後4時30分まで。 2026-09-20確認[5] |
| 概要 | 彦根城跡は昭和31年7月19日に国の特別史跡。下屋敷は昭和26年6月9日に「玄宮楽々園」として国の名勝。 2026-09-20確認[5] |
| 料金 | 彦根城(玄宮園を含む)の入場料は一般1,000円(団体800円)、小・中学生300円(団体240円)。 2026-09-21確認[4] |
| 営業時間 | 開場時間は08:30~17:00(彦根城、玄宮園・彦根城博物館の最終入場は16:30まで。建物内は16:45閉門)。 2026-09-21確認[4] |
国宝 彦根城
| 営業時間 | 8:30〜17:00(入場16:30まで) / 年中無休 2026-09-14確認[15] |
|---|
赤鬼と恐れられた初代に結びついた赤が、いまは城下で買って帰れる一皿の名になりました。彦根城の天守を見上げるとき、その色の行き先まで知っていると、帰り道の土産物屋が旅の続きになります。
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情報について
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