
畝傍山の麓から、龍の眠る寺へ。橿原と飛鳥の伝承をたどる旅
『日本書紀』は、橿原を日本建国の地と記しています。その即位の地に建つ橿原神宮から、飛鳥へ。龍を池に封じた岡寺、蘇我馬子の墓といわれる石舞台古墳と、伝承と史実が重なる場所を順にたどり、帰りに埴輪の形のまんじゅうを選ぶ。記紀の物語を手がかりに歩く、橿原と明日香の旅です。
基本
所在地 飛鳥・橿原は奈良県にあります。

旅の輪郭
舞台は橿原市と明日香村です。1日目は橿原で、橿原神宮と大和三山に囲まれた藤原宮跡。明日香村では岡寺と石舞台古墳を中心に、橘寺、飛鳥寺の西にある蘇我入鹿首塚を回ります。高松塚古墳・キトラ古墳の壁画と、柿本人麻呂を祀る人麿呂神社は「もう半日足すなら」にまとめました。泊まるのは明日香村の宿です。
即位の地から、飛鳥の伝承へ
八咫烏が導いた先の宮──橿原神宮
伝承では、神武東征の際に高御産巣日神によって八咫烏が遣わされ、熊野の山中で停滞する神武天皇の一行を大和の橿原へ案内したと伝わります。『日本書紀』はその橿原について、神武天皇が畝傍山の東南の麓に橿原宮を建て、第一代天皇として即位したのが紀元元年、今からおよそ2,680余年前のことと記しています。
神宮そのものが建ったのは明治です。橿原宮址に神宮を創建したいという請願が民間の有志からおこり、明治天皇は京都御所の内侍所(賢所)を本殿として、神嘉殿を拝殿として下賜しました。明治23年4月2日の鎮座です。神話の即位の地に、京都御所から移された建物が本殿として建っている、と知ってから参拝すると、社殿の由来にも目を向けたくなります。神宮のあとは、古代の都の跡へ向かいます。
三山に囲まれた、最初の碁盤の目の都──藤原宮跡
694年、大和三山に囲まれた藤原宮を中心に、日本で初めて碁盤の目状に道が通る都・藤原京が完成しました。日本初の法律「大宝律令」が制定されたのも、それまで「倭国」と称していた国名を「日本」と名乗り、対外的に初めて示したのも、長らく途絶えていた遣唐使の派遣を再開させたのも、この藤原京の時代です。
都を囲む三山のひとつ香具山は、古事記や万葉集で「天香具山」と呼ばれ、神話「天岩戸伝説」の舞台ともいわれています。宮跡では、都を囲む三つの山の位置を確かめてみてください。「三山に囲まれた都」という言葉が、地形として見えてきます。次は明日香村へ、飛鳥の寺と古墳を訪ねます。
龍を封じた池の蓋──岡寺
岡寺の古い正式な名は龍蓋寺。飛鳥の地を荒らし農民を苦しめていた悪龍を、義淵僧正が法力で池に封じ込め、大きな石で蓋をして改心させたことからその名が付いたと伝わります。改心した龍は善龍となって、いまも池に眠るといいます。
その池は龍蓋池として境内に残り、蓋である大きな要石を触ると雨が降るという言い伝えもあります。昔は池の前で請雨(雨乞い)の法要が行われたと伝わり、悪龍の厄難を取り除いて飛鳥を守ったこの伝説は、いまに続く岡寺のやくよけ信仰の始まりの一つとも言われます。寺の名前の「蓋」が、池の石のことだと知ってから境内に入ると、要石が参拝の目当てになります。

| 営業時間 | 入山時間は8:30~17:00(12月~2月は8:30~16:30)。最終入山受付は16:50(12月〜2月は16:20)。 2026-09-14確認[3] |
|---|
馬子の墓といわれる石室と、入鹿の首塚──石舞台古墳
石舞台古墳の被葬者はいまも特定されていませんが、有力視されているのは蘇我馬子です。『日本書紀』には馬子を「桃原墓」に埋葬したとの記述があり、この桃原墓が石舞台古墳ではないかといわれています。

蘇我入鹿にまつわる場所も、明日香村にあります。飛鳥寺の西側にある五輪塔は「入鹿の首塚」と呼ばれ、乙巳の変で暗殺された蘇我入鹿の首がここまで飛んできたという伝承が残ります。『日本書紀』の記述から墓といわれる石室と、伝承が語る首塚。蘇我氏の二つの場所を続けて訪ねると、記録と言い伝えの違いが見えてきます。

太子誕生の地と伝わる寺──橘寺
橘寺は聖徳太子ゆかりの寺で、太子はこの地で誕生したと伝わります。飛鳥時代の初め頃に尼寺として建立され、焼失や再建を経て、現在は僧寺として受け継がれています。境内には往生院と、二面石があります。
土産は、埴輪の形と、きなこのだんご
過ごし方:1泊2日で、橿原から明日香へ
1日目の午前は橿原神宮へ。八咫烏の伝承と、京都御所から移された本殿の由来を知ってから参拝します。午後は藤原宮跡で三山の位置を確かめ、夕方は明日香村の宿へ。
2日目の午前は岡寺で龍蓋池の要石を、続いて石舞台古墳へ。午後は橘寺と、飛鳥寺の西の入鹿首塚を回り、帰りに埴輪まんじゅうとだんごを選びます。岡寺と石舞台古墳は夕方に受付が終わるので、午前に置くと組みやすい行程です。
行事に合わせるなら、10月3日は橿原神宮の秋季大祭。御祭神・神武天皇の御神恩に感謝し、その年の実りに感謝する大祭です。10月17日・18日には、藤原宮跡のコスモス花園北側で「かしはら藤原宮跡コスモスマルシェ」が開かれ、地域の特産品が並びます。日程はこの秋の催しで確かめてください。
もう半日足すなら:古墳の壁画と、万葉の歌聖
高松塚古墳は飛鳥時代の終わり頃につくられた円墳で、その壁画は1974年に国宝に指定されました。キトラ古墳では、2026年9月19日から10月18日まで「第41回 国宝キトラ古墳壁画の公開」が行われ、四神の館の10周年として朱雀・玄武・青龍の3面が同時に公開されます。
橿原市地黄町の人麿呂神社は、『万葉集』第一の歌人で三十六歌仙の一人、「歌聖」と称えられた柿本人麻呂を祭神とする神社です。藤原宮跡で見た香具山は、万葉集でも「天香具山」と呼ばれる山。その万葉集を、歌人の側からたどる寄り道になります。
冬に訪ねるなら、飛鳥川の上流の「女綱」と下流の「男綱」を付け替える綱掛祭があります。男綱は稲渕、女綱は栢森で、いまは男綱が成人の日、女綱が1月11日。起源は定かではないものの、子孫繁栄や五穀豊穣を祈り、結界のような役目を果たしているとされます。
飛鳥・橿原で体験・ツアーを探す
料金・催行日・集合場所は予約サイトで確認してください。リンクは広告を含みます。
- VELTRAで橿原・葛城の体験・ツアーを見る(飛鳥・橿原以外の体験も含みます)
飛鳥・橿原への移動・ツアーを探す
行き先・日程・料金は予約サイトで入れて確認してください。どれも地域を絞らない入口です。リンクは広告を含みます。
飛鳥・橿原の宿を探す
料金・空室・食事条件は各予約サイトで確認してください。リンクは広告を含みます。(2026-09-18確認)
飛鳥・橿原の土産をお取り寄せする
送料・のし・配送日はリンク先で確認してください。リンクは広告を含みます。
- 老舗通販.net(創業100年超の老舗の品)
- 羽田産直セレクション(全国の産直)
- JTBショッピングで奈良県の土産を見る
この旅の続きを、どこに泊まる?
2日目を明日香村の寺と古墳に使うなら、村の中に泊まると宿がそのまま翌朝の起点になります。
この秋の催し
日程は出典先で最新をご確認ください。
| 9月19日〜10月18日 会期末・10月18日まで | 第41回 国宝キトラ古墳壁画の公開 令和8年9月19日(土)~10月18日(日)に開催。【3面同時公開】【四神の館 10周年】として、公開壁画は朱雀・玄武・青龍。 [5] |
|---|---|
| 10月3日 終了 | 秋季大祭 御祭神・神武天皇様の果てしなく広く大きな御神恩に感謝申し上げる大祭。祭典では、今年の豊かな実りに感謝するとともに、国家の繁栄と国民の平安、そして全国の崇敬者の皆様方の家運隆昌、企業等諸団体の繁栄を御祈願申し上げる。 [6] |
| 10月17日〜10月18日 2026年の開催予定 | かしはら藤原宮跡コスモスマルシェ 令和8年10月17日土曜日から令和8年10月18日日曜日、9時00分から16時00分まで、藤原宮跡(コスモス花園北側)で開催。地域の特産品販売や観光PRなどを展開するマルシェ。 [7] |
旅支度と出典(営業時間・料金・アクセス・注意)
知っておきたいこと
- 石舞台古墳普通車500円、中型2,000円、大型3,000円。
2026-09-16確認[4]
営業時間・料金・アクセス
金額・時間は確認日時点のものです。出かける前に出典先でご確認ください。
岡寺
| 営業時間 | 入山時間は8:30~17:00(12月~2月は8:30~16:30)。最終入山受付は16:50(12月〜2月は16:20)。 2026-09-14確認[3] |
|---|
石舞台古墳
| 料金 | 個人料金は大人500円、小~高校生200円。 2026-09-16確認[4] |
|---|---|
| 営業時間 | 入場時間は9:00-17:00(最終入場16:45)。 2026-09-16確認[4] |
亀形石造物
| 見どころ | 酒船石遺跡のふもとの亀形石造物は、地下水を亀の形をした部分に溜める構造 2026-10-06確認[8] |
|---|
八咫烏が導いた即位の地から、龍が眠る池の蓋、馬子の墓といわれる石室へ。橿原と飛鳥では、記紀の神話と、飛鳥の伝承と、史実とが、同じ旅の中で重なっています。
次に読みたい旅
この旅の物語とつながる、別の土地。
同じ県・隣県の旅先
周辺の地域も探すなら。移動手段と所要時間は各ページで確かめてください。
情報について
この記事の由来・営業時間・催しは、自治体・観光協会・施設の公開ページを確認して書いています(最終確認 2026-10-10)。訪問して得た感想は書いていません。当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。リンク先での予約・購入により当サイトに報酬が入ることがあります。誤りはお問い合わせから。
注
- 写真:663highland(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
- 写真:Suikotei(Wikimedia Commons・CC BY 4.0)・利用条件
- 施設公式 okadera3307.com(2026-09-14確認)
- 観光協会 asukamura.com(2026-09-16確認)
- 国の機関 bunka.go.jp(2026-09-14確認)
- 施設公式 kashiharajingu.or.jp(2026-09-14確認)
- 自治体 city.kashihara.nara.jp(2026-09-14確認)
- 観光協会 asukamura.com(2026-10-06確認)
- 写真:TANAKA Juuyoh (田中十洋)(Wikimedia Commons・CC BY 2.0)・利用条件
- 写真:MaedaAkihiko(Wikimedia Commons・CC BY-SA 4.0)・利用条件
- 写真:663highland(Wikimedia Commons・CC BY 2.5)・利用条件




