日本酒の基本
ラベルの「吟醸」「純米」「本醸造」は、原料と造りの条件を満たした清酒だけが使える名前です。
このページでは、清酒と日本酒のちがい、名前のくくり、ラベルの読み方、辛口と甘口、飲む温度の呼び名、節度ある飲酒の目安を、公の資料の範囲でまとめます。
清酒と日本酒
酒税法上の清酒は、国税庁の「酒税法における酒類の分類及び定義」では、次の二つが挙げられています。
ひとつは、米、米こうじおよび水を原料として発酵させてこしたもので、アルコール分が22度未満のもの。もうひとつは、米、米こうじ、水および清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させてこしたもので、同じくアルコール分が22度未満のものです。
清酒=米・米こうじ・水を発酵させてこしたもの・アルコール分22度未満(酒税法)

名前のくくり
国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要では、特定名称は原料や製造方法などの違いによって8種類に分類される、とされています。条件を満たした清酒だけが、その名前を名乗れます。
特定名称 全部で8つ
名前を分けるところには、醸造アルコールを使っているかどうか、精米歩合、吟醸造りかどうかがあります。
精米歩合
精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合です。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。
精米歩合60%=外側を4割削る
酒類総合研究所も、精米歩合を、白米重量を玄米重量で割り、百分率で表したもの、と説明しています。
一般家庭で食べている米は、精米歩合92%程度の白米で、玄米の表層部を8%程度削ったものです。清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。
国税庁の資料は、米の胚芽や表層部にはたんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、多過ぎると清酒の香りや味を悪くする、としています。

特定名称の清酒に使う白米は、農産物検査法によって3等以上に格付けされた玄米、またはこれに相当する玄米を精米したものに限られています。
醸造アルコール
醸造アルコールとは、でん粉質物や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。吟醸酒や本醸造酒に使用できる量は、白米の重量の10%以下に制限されています。
醸造アルコールは白米の重さの1割まで
名前に「純米」が付く特定名称の使用原料は、米と米こうじです。吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒、特別本醸造酒の使用原料は、米、米こうじ、醸造アルコールです。
8つの特定名称
精米歩合の線は、70%以下、60%以下、50%以下です。ただし、いまの純米酒には精米歩合の要件がありません。吟醸と大吟醸は、精米歩合に加えて、吟醸造りであることも条件です。
吟醸造りとは、吟味して醸造することをいいます。伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することです。
こうじ米の使用割合は、白米の重量に対するこうじ米の重量の割合です。特定名称の清酒は、この割合が15%以上のものに限られています。下の表の「こうじ米」は、その要件です。
こうじ米は15%以上

| 特定名称 | 精米歩合 | こうじ米 | 香味などの要件 |
|---|---|---|---|
| 純米酒 | 要件なし | 15%以上 | 香味、色沢が良好 |
| 特別純米酒 | 60%以下又は特別な製造方法(説明表示が必要) | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好 |
| 純米吟醸酒 | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造り。固有の香味、色沢が良好 |
| 純米大吟醸酒 | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造り。固有の香味、色沢が特に良好 |
| 特定名称 | 精米歩合 | こうじ米 | 香味などの要件 |
|---|---|---|---|
| 本醸造酒 | 70%以下 | 15%以上 | 香味、色沢が良好 |
| 特別本醸造酒 | 60%以下又は特別な製造方法(説明表示が必要) | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好 |
| 吟醸酒 | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造り。固有の香味、色沢が良好 |
| 大吟醸酒 | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造り。固有の香味、色沢が特に良好 |
「特別」
「特別」が付くのは、特別純米酒と特別本醸造酒です。東京国税局のページでは、純米酒のうち、香味および色沢が特に良好なもので、精米歩合60%以下、または特に良好であることを製造方法等により説明表示してあるもの、とされています。特別本醸造酒も同じ形です。
純米酒の精米歩合
純米酒の精米歩合は、表では「要件なし」です。平成15年の改正で、純米酒の製法品質の要件から「精米歩合70%以下」が削除され、平成16年(2004年)1月1日に施行されました。同じ改正で、特定名称の清酒の要件に「こうじ米の使用割合15%以上」が追加されています。
純米酒の精米歩合の決まりは2004年からなし
ラベルの読み方

- 原材料名。特定名称を表示する清酒は、原材料名の表示に近接した場所に精米歩合も表示する
- アルコール分
- 内容量
- 製造者の氏名または名称
- 製造場の所在地(記号でもよい)
- 「清酒」。原料の米に国内産米のみを使い、国内で製造した清酒は「日本酒」と表示してもよい
- 保存または飲用上の注意事項(生酒など、加熱しない酒)
- 原産国名(輸入した清酒)
- 外国産清酒を使ったものの表示
製造時期は、2023年1月1日から、必ず書く事項ではなくなりました。令和4年国税庁告示第30号(令和4年7月19日改正、令和5年1月1日施行)で、必要記載事項から任意記載事項に変更されています。書くときは、清酒を販売する目的をもって容器に充填し密封した時期を、製造時期であることを示す文字の後に表示します。
書いてもよいこと
任意記載事項には、それぞれ条件があります。
- 原料米の品種名。その米の使用割合が50%を超えるとき。資料の例には「山田錦100%」
- 清酒の産地名。その清酒の全部を、その産地で醸造したとき
- 貯蔵年数。1年以上貯蔵したとき
- 原酒、生酒、生貯蔵酒、樽酒
- 生一本。ひとつの製造場だけで造った純米酒
- 「極上」「優良」「高級」など。自社内のランク付けを示す場合に限る
- 製造時期
書けないものの例として、資料は「最高」「第一」「代表」など最上級を意味する用語と、品評会等で受賞したものであるかのように誤認させる用語を挙げています。
日本酒度と酸度は、上の必要記載事項にも任意記載事項の一覧にも入っていません。東京国税局のページ(資料提供:日本酒造組合中央会)は、ラベルに日本酒度、酸度を表示しているものも少なくない、としています。造り手が、自分で書いていることがあります。
辛口と甘口
日本酒度は、清酒の比重を示すのに使われる、清酒独特の単位です。日本酒造組合中央会の用語集では、15℃の清酒に日本酒度浮ひょうを浮かべて測定する、とあります。15℃で、4℃の純粋の水と同じ重さのものの日本酒度は0です。それよりも軽いものは正の値、重いものは負の値をとります。計量法による定義は、日本酒度=((1/比重)-1)×1443 です。
酒類総合研究所のリーフレットは、日本酒度を比重の一種とし、英語では Sake Meter Value (SMV) と呼ばれることもある、としています。一般に、日本酒度の低い(マイナスの)ものほど甘口、高い(プラスの)ものほど辛口です。
酸度は、同じ用語集では、清酒10mlを中和するに要する10分の1規定水酸化ナトリウム溶液の滴定ml数、とされています。
酒類総合研究所は、清酒の甘辛は、清酒中の糖分と酸度のバランスによってほぼ説明できる、としています。糖分が同じであれば、酸度が高くなると甘味を感じなくなり、酸度が低くなると甘味を感じます。たとえば吟醸酒は、分析値からは糖分が少ないので辛いお酒と考えられますが、官能的には、酸が少ないため、甘く感じるお酒もあります。このほか、清酒中の香り成分や、口当たりも影響します。
用語集の「甘辛度」には、「この式によって甘辛の81%が説明できる。」とあります。
日本酒度や酸度は、甘口か辛口かを一つに決める数字ではなく、おおよその目安です。
飲む温度
温度の呼び名は、東京国税局のページ(資料提供:日本酒造組合中央会)の表によります。
| 呼び名 | 目安 |
|---|---|
| 雪冷え | 5℃ |
| 花冷え | 10℃ |
| 涼冷え | 15℃ |
| 日向燗 | 30℃近辺 |
| 人肌燗 | 35℃近辺 |
| ぬる燗 | 40℃近辺 |
| 上燗 | 45℃近辺 |
| あつ燗 | 50℃近辺 |
| 飛びきり燗 | 55℃以上 |
雪冷え、花冷え、涼冷えの読みは、中央会のページでは「ゆきびえ・はなびえ・すずびえ」、国税庁の表では「ゆきひえ・はなひえ・すずひえ」です。どちらも公の資料にあります。
酒類総合研究所のリーフレットは、お燗は一般に42〜45℃くらい、繊細な風味の酒は35〜40℃くらい(ぬる燗)、としています。国税庁の表のぬる燗は40℃近辺です。資料のあいだで、温度には幅があります。
中央会の飲み方のページは、温度による香りの違いを次のように書いています。雪冷えでは、香りはあまり立たず、冷たい口当たりで、味わいの繊細さがわかりにくいこともあります。ぬる燗では、酒の香りがもっとも豊かになり、味わいに膨らみを感じます。あつ燗では、酒の香りがシャープになり、切れ味の良い辛口になります。飛びきり燗では、酒の香りが強くなり、辛口になります。
確認した国税庁、日本酒造組合中央会、酒類総合研究所の資料には、「冷や」と「冷酒」の違いを定義した文はありません。このページでは、その違いを断定しません。
和らぎ水
日本酒造組合中央会は、日本酒を飲みながら飲む水を「和らぎ水」と説明しています。確認したページには、量の指定はありません。

節度ある飲酒の目安
厚生労働省「健康日本21(アルコール)」は、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する、としています。
同じページの換算表では、清酒1合(180ml、アルコール分15%)は、純アルコール22gです。1日の目安の約20gと、1合の22gは、別の数字です。
節度ある飲酒の目安 1日平均 純アルコール約20g・日本酒1合は約22g
資料には、この数字の範囲についても書かれています。
- 女性は、男性よりも少ない量が適当である
- 65歳以上の高齢者は、より少量の飲酒が適当である
- 飲酒習慣のない人に、この量の飲酒を推奨するものではない
西条酒蔵通り
西条酒蔵通り(広島県東広島市)
JR西条駅のすぐ近く
広島県東広島市に、西条酒蔵通りがあります。東広島市のページは、JR西条駅を降りるとすぐにある、と書いています。同じページには、現在も7つの蔵元が軒を連ねている、とあります。この文は、2026年10月15日にそのページを開いて確認したものです。蔵の数は、変わることがあります。
市の文化財のページによれば、この地区は江戸時代に旧西国街道の宿場町(四日市宿)として栄え、広島藩から認められた家が、街道沿いの主屋の裏に小規模な酒蔵を設けていました。明治後期から大正期には、JR西条駅の設置による販路の拡大や、醸造技術の発展などにより、酒蔵は規模を拡大した、とあります。
2024年2月21日、酒蔵の建物は国の史跡に指定されました。市は、酒蔵が史跡に指定されるのは全国で初めてだ、と書いています。
2024年 酒蔵の建物が国の史跡に
市のページは、JR西条駅を降りるとすぐ、と書いていて、歩いて何分とは書いていません。
出典
このページの文は、次のページを 2026-10-15 に開いて確認した範囲で書いています。
- 国税庁「酒税法における酒類の分類及び定義」(2016年版)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2016/pdf/002.pdf
確認日: - 東京国税局「日本酒(清酒)に関するもの」
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/abc/abc-sake.htm
確認日: - 国税庁「地理的表示「日本酒」の指定について」(平成27年12月)
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/minaoshi/pdf/chiritekihyoji.pdf
確認日: - 国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm
確認日: - 酒類総合研究所(精米歩合、甘辛と酸度)
https://www.nrib.go.jp/sake/sakefaq02.html
確認日: - 日本酒造組合中央会「日本酒用語集」
https://www.japansake.or.jp/sake/know/glossary/
確認日: - 酒類総合研究所のリーフレット
https://www.nrib.go.jp/sake/pdf/sake_leaflet_j.pdf
確認日: - 日本酒造組合中央会(飲み方のページ)
https://www.japansake.or.jp/sake/know/how-to-drink-sake/
確認日: - 日本酒造組合中央会「和らぎ水のすすめ」
https://www.japansake.or.jp/sake/know/yawaragi/
確認日: - 厚生労働省「健康日本21(アルコール)」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
確認日: - 東広島市(西条酒蔵群の文化財のページ)
https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/kyoikuiinkaishogaigakushu/3/11/bunkazai/town/saijo/sakaguragun/index.html
確認日: - 東広島市(西条酒蔵通りのページ)
https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/sangyo/12/6_1/3846.html
確認日: